相手心理を読む交渉ゲーム

| コメント(0) | トラックバック(0)

 二十代前半に将棋に嵌まったことがある。自分がどう指すかという決断よりも、相手がどう指すかという読みが優先することを学んだ。当たり前だけれど、これがなかなか簡単ではない。読みはついつい自分の手を中心に組み立ててしまうからである。

  「彼を知り己を知れば百戦危うからず」はご存知の孫子の兵法だ。相手が先である。「敵の手の内を熟読せよ。敵は私たちの味方である」(エドモンド・バーグ)は、敵が貴重な情報源であることを示唆している。

☆ ☆ ☆

 6月28日の私塾金澤講座のテーマは『PR戦略とネゴシエーション』。交渉の基本は敵の読み方。そこで、「ジャンケンのジレンマ」という自作の交渉ゲームを演習に取り上げた。これに似てはいるが、もっと戦略的駆け引きのいる、ぼくが自作したジャンケンゲームを紹介しよう。

 1.パーがグーに、グーがチョキに、チョキがパーにそれぞれ勝つのはジャンケンと同じだが、パーで勝つと5点、チョキで勝つと2点、グーで勝つと1点と点数が変わる。これにより、リスクとリターンの含みが生まれ、通常のジャンケン以上に読みが入ることになる。

 2.おあいこは引き分けではない。勝ち負けが決着した点数を2倍にする。つまり、おあいこ1回のあとにパーで勝つと10点、チョキで勝つと4点、グーで勝つと2点になるのだ。おあいこが2回になると3倍、3回になると4倍、4回になると5倍の点数になる。なお、これまでにぼくが目撃したおあいこ最高記録は14回である。

 3.野球と同じように1イニングから9イニングまでジャンケンする。合計点の多い方が勝ちである。おあいこも含めて勝敗が決着した点数を各イニング欄に書き込む。つねに一方は0点になる。

 4.途中のイニングの前に、負けている方が「ダブル」と「トリプル」をそれぞれ1回コールする権利を行使できる。たとえば、6イニング終了時点で、14対6で負けているとする。チョキ3回で勝利しても6点だから追いつかない。残り3イニングで逆転するには、おあいこを重ねるしかないのだ。この「ダブル」と「トリプル」は、いきなり2倍のおあいこ、3倍のおあいこ状態でジャンケンする権利である。仮に7イニング目にうまく逆転したら、今度は相手側が「ダブル」「トリプル」をコールする権利をもつ。

 5.イニング制ではなく、先に合計30点到達で勝利という方法もある。おあいこで何十倍にも点数が膨らむ可能性はあるが、逆転無理と判断したらギブアップしてもよい。

 6.「最初はグー」という調子合わせはなし。お互いの呼吸を合わせるのが望ましい。うまくいかないのなら、どちらか一方が調子合わせの権利をもつようにする。

☆ ☆ ☆

 このゲームでは、1イニング目からおもしろい現象が起こる。グーを出して相手にいきなり5点を献上したくないという心理が働く。ゆえに、チョキかパーになるケースが90%以上になるのだ。チョキはリスクなしでリターンが中、パーは中リスクでリターン大。性格が出る。1イニング目からおあいこが連続することもある。

 1イニング目の結果によって2イニング目の戦術が決まる。その時々の点差によってグーの出番も増える。強気だった方が弱気になり、負けている側が窮鼠になって猫に噛みつき大逆転ということも。いつのまにか、自分がどうするかではなく、相手がどう来るかを読んでいる自分に気づくだろう。

 さあ、紙とペンと相手を用意して一度試してみよう。 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.proconcept.co.jp/promt/mt-tb.cgi/115

コメントする









プロフィール

岡野勝志(おかのかつし)
1951年大阪生まれ

企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長
企画アイディエーター
岡野塾主宰

ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。
マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人材の課題に対して、「即答即決アイディエーティング」をおこなっている。

検索

月別アーカイブ

タグクラウド

Powered by Movable Type 4.21-ja