いっそイノベーション

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 誤解なきよう。リサイクル思想に異論を唱える大胆な提言ではない。

 修正や再利用を繰り返すよりも、思い切ってやり変えたほうがいいという、とても身近な話。散歩をしていたら、古めかしいビルの入り口横の壁に貼り紙を見つけた。最初は意図がよくわからなかった。その貼り紙には求人募集にともなう典型的な文言がいろいろ書いてあるのだが、一番目立ったのがこれである。 

88歳までの方

38

 

 さすが少子高齢化社会を反映して、ここまで年齢を引き上げての募集をしていたか・・・・・・しかし、応募がなかった(若い人が嫌がった)?・・・・・・そこでやむなく一気に50歳も引き下げて38歳? 「38」の数字はマジックインクの手書きである。

 

 ちょっと待てよ、何かおかしい。よく見れば線で消されている88の十の位のほうが3から改ざんされた8ではないか。はは~ん、これで読めました、古畑任三郎。悪戯である。事の次第を推理すると・・・・・・

 

 最初は「38歳」で募集していたのだ。ある時誰かが悪さをして「88歳」に書き直した。3を8に変えるのは朝飯前、1を7に、あるいは5を6に変えるよりも簡単だ。悪戯をした奴はちょいちょいと一筆足して50もプラスできたことにほくそ笑んだに違いない。

 

 そのオフィスはしばらく気づかなかったのだろう。早く気づいていれば、パソコンのデータも残っていただろうから、データを修正して貼り直せば済んだはず。何ヵ月か、もしかすると何年か経ってから気づいたが、当時のデータがない。で、御座なりに手書きで貼り紙に訂正を加えた・・・・・・。

 

 ぼく以外に誰がこんなに深い読みを入れて理解してくれるだろうか? ノーバディだ。みんな呆れたり薄ら笑いを浮かべて通り過ぎる。「よくもまあ、88歳で募集したもんだ。いったいどんな仕事なんだい? 28歳も88歳も一緒にできる世代間格差のない仕事? あればあったで結構なことだが、結局人が来なかったんだろ。で、やむなく50歳ダウンの38歳か」―ここまでの感想を洩らすことすらありそうにないが、まあこんな印象だろう。

 

 これはなかなかの教訓である。リフォームしてよいことと悪いことがある。修正するより一からやり直したほうが手っ取り早く、しかもイメージを損なわないこともある。コストと手間がかからず見映えがよければ、黙ってイノベーションだ。

 

 応募者心理に気配りできないあの会社、応募状況はどうなんだろう? と余計な心配。仮に「いっそ作り変えたら?」とお節介な口出ししても、「いやいや、あれでいいんです。へっちゃらです」と返されるかもしれない。あの貼り紙、なんとなく威風堂々に見えてきた。 

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プロフィール

岡野勝志(おかのかつし)
1951年大阪生まれ

企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長
企画アイディエーター
岡野塾主宰

ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。
マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人材の課題に対して、「即答即決アイディエーティング」をおこなっている。

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