週刊イタリア紀行No.3 ヴェネツィア(3) 歩き尽くせぬ空間

| コメント(0) | トラックバック(0)

 日本の大都会に住む者からすれば、たかだか2キロメートル四方の街なんて一日もあれば十分だ。たとえ徒歩であれ、名所はくまなく巡れるはずと自信満々。さらには、4泊もするのだから、観光スポット以外の生活者領域にも足を踏み入れられるだろうと思っていた。

 だが、これほど地図と現実が一致しにくい街も珍しい。東西南北の感覚がズレる。狭い空間にもかかわらず、そこに毛細血管のような細い通りや小径が複雑に張り巡らされ、おまけに小運河や橋や袋小路が出没して歩行者の感覚を錯綜させる。この街の物理的狭さを地図で認識していても、現実に遭遇する迷路設計の空間は途方もなく広がっていく。

 サンタ・ルチア駅から逆Sの字で辿る大運河を何度も水上バスで往来し、そこかしこで下船もして散策をしてみた。だが、目にしたり通り過ぎたりして記憶に残っているのは、貴族の館や商館、リアルト橋やアカデミア橋、何度も紹介したサンマルコ広場、その寺院と時計塔、総督宮殿・・・・・・これらはすべて名の知れた観光スポットばかりである。ヴェネツィアは生活感に触れようと思う現代人にはなかなか手強い街だった。

 それでもなお、夜にはレアルト橋裏手の飲食通りを徘徊し、朝市にも行ってみた。そこには触手を伸ばしたくなる海の食材も豊富にあったが、ホテル暮らしでは調理のしようもない。ホテル近くのサンタンジェロ広場とサント・ステファーノ広場には何度も足を運んだ。後者のトラットリアやバールには地元の人々の姿も見られた。「そぞろ歩き」はそこに住む人々の生活を素直に映し出すものである。

 「ヴェネツィアにまた行ってみたいか?」とよく尋ねられる。他にも訪れたい都市があるので、優先順位はもはや上位には入らないかもしれない。しかし、もし再訪の機会があれば、次は下手な企てなどせずに、純粋に旅人として『おとぎの国のヴェニス』を堪能すればいいだろう。そして、もっともっとディープな路地に迷い込んでみたいと思う。 《ヴェネツィア完》

☆ ☆ ☆

008.jpgのサムネール画像〔左〕サンマルコ広場から見る運河にはギリシャからエーゲ海、アドリア海をクルーズしてきた豪華客船がよく停泊している。水際の玄関口の小広場では、翼のある獅子の円柱と聖テオドーロの円柱が人々を出迎える。

013.jpgのサムネール画像

 

 

〔左〕大運河から街の奥へと入って行っても、行く所どこにでも小運河が広がる。これなどまだ幅が広いほうで、ゴンドラ一艘が通るのが精一杯という水路がある。しっかり目印を焼き付けておかないと、すぐに迷い子になってしまう。

 

 

 

 

066.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像029.jpgのサムネール画像〔左〕豪華なゴンドラに乗るセレブ風の乗客。このような狭い水路の橋の下からも乗船できる。

〔右〕営業時間前の朝に出番を待つ、サンマルコ運河のラグーナに繋がれたゴンドラ。

 

064-2.jpg〔左〕有名なリアルト橋。逆S字型の大運河には橋が三つある。その一つであるリアルト橋は街の中心部にあり、運河のもっとも狭いスポットに架かっている。この近くのリストランテでヴェネツィア名物イカ墨のパスタと海の幸のフリッタを賞味した。とてもおいしかったが、値段も張った。

076.jpg101.jpg

 

 

 

 

 

〔左〕サンマルコ広場から眺める昼間のサルーテ教会。〔右〕夕景に浮かぶ姿。

104.jpg〔左〕サルーテ教会をこのアングルでつかまえる黄昏シルエットは多くの画家や写真家が題材にしてきた。もっと暗くなってからの写真も撮ったが、ブレていたり滲みすぎてよくシルエットが浮き彫りになっていなかった。これでも夜の7時半から8時前だろう。ちなみにヴェネツィアの緯度は北海道の宗谷岬とほぼ同じ位置にある。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.proconcept.co.jp/promt/mt-tb.cgi/132

コメントする









プロフィール

岡野勝志(おかのかつし)
1951年大阪生まれ

企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長
企画アイディエーター
岡野塾主宰

ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。
マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人材の課題に対して、「即答即決アイディエーティング」をおこなっている。

検索

月別アーカイブ

タグクラウド

Powered by Movable Type 4.21-ja