もう少し嘘の話

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 昨日に続く嘘の話をもう少し。

 掃除のおばさんのようなあからさまな嘘は例外。あれは一種のギャグである。嘘はおおむね巧妙に組み立てられるものだ。偽装がまかり通り、詐欺の罠に嵌まる。いずれバレるのだが、摘発されるまでに相当数の被害が発生する(なお、嘘というものはバレることによって「市民権」を得る。バレなかったら誰も嘘として取り上げてくれない)。

 はたしてその人間が嘘つきかどうかを見破ることなどできるのだろうか? 顔色やしぐさをよく見て、使っていることばをよく聞き、深層心理のヒダにまで分け入ればわかるものだろうか? とことん性悪説的に人間を観察しないかぎり、無理である。

 「よく考えているか?」と確認したら「はい」と返事されて信じてしまい、後になって「そいつがまったく考えていなかった」ということがわかる。「わかっています」「ちゃんとやっておきます」という嘘にどれだけ騙されてきたことか。

 「明日から心を入れ換えます」という決意表明を決して信じてはいけない。ほんとうに心を入れ換える気のある人間は「今すぐに心を入れ換えます」と言うものだ。「明日から」と先送りする輩は絶対に心を入れ換えることはない。なぜなら、翌日になった時点でもそいつの決意表明は依然として「明日から心を入れ換えます」であり、毎日毎日、執行猶予一日分が必ず延長されるのである。

☆ ☆ ☆

 「折れた煙草の吸がらで、あなたの嘘がわかるのよ」と中条きよしが歌った。あの歌詞のヒロインは天才だとつくづく思う。なにしろ折れたタバコの形状で嘘を見破るのだ。すごいじゃないか!? いや、嘘だけではなく、「誰かいい人できたのね」と真実まで見抜いてしまう。もしかして彼女は超一級の心理カウンセラー?

 これだけ世の中に偽装や詐欺がはびこるのはなぜだろうか? 騙す側と騙される側は、売り手と買い手の関係同様に、市場原理の法則で動いているのだろう。騙される側(=消費者)がいなくなれば、騙す側は廃業するか倒産する。騙す側も懲りないが、騙される側も懲りない。ゆえにリピーターが多い。

 中条きよしの『うそ』の歌詞は、1番から3番まである。1番の最終フレーズは「哀しい嘘のつける人」。2番が「冷たい嘘のつける人」。そして3番がなんと「優しい嘘のうまい人」と嘘つきを賞賛する。このヒロイン、嘘を見破る達人であると同時に、騙されることに酔いたがる常連さんなのかもしれない。

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プロフィール

岡野勝志(おかのかつし)
1951年大阪生まれ

企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長
企画アイディエーター
岡野塾主宰

ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。
マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人材の課題に対して、「即答即決アイディエーティング」をおこなっている。

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