滞在時間は3時間と少し。フィレンツェ-ポッジボンシ-サン・ジミニャーノ往復に要した時間とほぼ同じ。街が小さいのに加えて自慢できる知識などまったくないから、何が見所なのかもよくわかっていない。おまけにシーズンオフだ。正直言って、3回にわたって書くだけの話題を持ち合わせていない。
四十いくつの数の世界遺産を誇るイタリアにあって、サン・ジミニャーノは1990年に7番目の早さで登録されている。城壁に囲まれた街サン・ジミニャーノ。石畳と古色蒼然とした壁の間から中世以来生き延びてきた塔が背伸びをしてみせる。よく目を見張ると、石畳や壁が修復されているのがわかる。石の文化は強靭だが、それでもなお数百年の年月は街を疲弊へと追いやる。
錆びたような黄土色の建物、時には寒々しいグレーの石畳や赤っぽい石畳、くすんだこげ茶色の屋根、窮屈そうで人影もまばらな通り・・・・・・。この街に決してマイナスイメージを抱いたわけではないが、見るもの感じるものすべてが寂寥の色合いに染まる。ルチアーノ・パヴァロッティが歌いあげるイタリア民謡、たとえば『はるかなるサンタ・ルチア』が流れてきたりすると、哀愁がただよい感傷的な気分になること間違いない。
世界中から観光客がやってきてこの小さな街がにぎわう季節なら、哀愁や寂寞に襲われることはないだろう。ガイドブックの教えにしたがって名物の白ワイン"Vernaccia di San Gimignano"も楽しみ、土産物もしこたま買い込んでほろ酔い気分で帰路につくかもしれない。しかし、それはそれ。旅は季節によって街の顔を変える。それを一期一会の縁と受け止めるのをサン・ジミニャーノに教えてもらった。 《サン・ジミニャーノ完》
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〔左〕足の向くまま街外れへと歩く。〔右〕城壁の外に出るとさらに閑静な風情。
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城壁外の田園風景。〔左〕塔の上から。〔右〕サン・ジョヴァンニ門の前から。![]()
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〔左2点〕城壁周辺の住宅地区。〔下〕一戸建て住宅。ホテルが少ないので民家が部屋を貸す。
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〔左〕聳える塔を後景に置く住宅地。高層ビルに見えなくもないが、景観の邪魔になるどころか、この街に絵になる躍動感を与えている。




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