検索上手とコジツケ脳

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 「XXXについて調べる」とはどういうことか。たとえば、そのXXXが「ホルモン鍋」だとしたら、「ホルモン鍋について調べる」とはいったいホルモン鍋の何を調べるのかということになってくる。「調査」がリサーチ(research)で、「一般的に広く」という感じがする。これに対して、ホルモン鍋の「レシピ」「旨い店」「由来」などの「検索」がサーチ(search)。リサーチもサーチも何かを探しているのだが、サーチライトということばがあるように、検索のほうが「狙いを絞って具体的に照らし出す」という意味合いが強い。

 自分の脳以外の外部データベースに情報を求める場合、有閑族は調べようとし、多忙族は検索しようとする。しかし、多忙族の「速やかに」という思惑とは裏腹に、検索の絞り込みが曖昧だと、知らず知らずのうちに大海原での釣り人と化し、まるで暇人のように時間を費やしてしまうことになる。検索のコツは分母を大きくしないことである。それは欲張らないことを意味する。絞った狙いの中に見つからないものは存在しないと見なすくらいの厚かましさが必要である。

 あきらめて、自分で考え始めたら(つまり、自分のアタマを検索し始めたら)、な~んだ、こんなところで見つかったということが大いにありうる。だから、ぼくはいつもくどいほど言うのである―検索は自分のアタマから始めるのが正しい、と。次いで身近にいる他人のアタマを拝借し、その次に手の届く範囲にある本や新聞や百科事典や辞書を繰る。それでダメならインターネットである。この順番がいつもいつも効率的なわけではないが、脳を錆びさせたくなかったらこの手順を守るべきだ。

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 自分の脳を検索する。それは仕入れた(記憶した)情報を再利用することであり、同時に、あれこれと記憶領域をまさぐっているうちに創造思考をも誘発してくれるという、まさに一石二鳥の効果をもたらす。例を示そう。「もてる男の三条件を見つけよ」。

 インターネットから入っていくと、検索が調査になってしまいそうなことに気づくだろう。検索分母が途方もなく大きすぎて、三つの条件に絞れる気などまったくしない(仮に絞れていけたとしても、どうせいろんな人間がああでもないこうでもないと主張しているので、まとまることはありえない)。

 だから自分のアタマを検索する。ぼくなら三つの条件を、たとえば「お」から始まることばにしてしまう。五十音から探すのではなく、一音からだけ探す。そう、無茶苦茶強引なのである(だって、検索というのはお急ぎなのだ)。すると、「おもしろい」「お金がある」「思いやりがある」「男前」「お利口」などが浮かんでくる。さらにもう一工夫絞り込んで三つにしてしまう。

 もっとすごいコジツケがある。「リーダーシップを五つのアクションに分けよ」。これなど「リーダーシップのさしすせそ」と決めてしまうのだ。「察する(気持を)、仕切る(段取りを)、進める(計画を)、攻める(課題を)、注ぐ(意識を)」で一丁上がり。あとでじっくり検討すればよい。考えてみれば、調味料の「さしすせそ」だって強引ではないか。「砂糖、塩、酢、醤油、味噌」だが、塩と醤油が同じ「し」なので醤油のほうを「せうゆ」とは苦しい。味噌も「み」なのに「そ」に当てている。これなど絶対にコジツケで「さしすせそ」にしたに違いない。調味料にみりんが入っていないのも不満である。

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 語呂がいい愛称や略語の類はほぼ以上のような手順で編み出されていると思って間違いない。何カ条の教えや法則も同様である。官民を問わず、大阪人が何かをネーミングするときは、何とかして「まいど」や「~まっせ」を使ってやろうとする。「人工衛星まいど1号」はその最たるものだが、他にも類例はいくつもある。

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プロフィール

岡野勝志(おかのかつし)
1951年大阪生まれ

企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長
企画アイディエーター
岡野塾主宰

ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。
マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人材の課題に対して、「即答即決アイディエーティング」をおこなっている。

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