週刊イタリア紀行No.43 「ローマ(1) サンタンジェロ地区のアパート」

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 昨年3月、パリに8日間滞在した後、ローマへと向かった。四度目のローマだ。それまでの訪問で名立たる観光地のほとんどに足を運んでいたが、何となく消化不良に終わっていた(自分が決めた予定にいつも急かされていた)。それで、ゆっくり7泊することにした。ヴァチカンに近いサンタンジェロにいいアパートが見つかったので、そこに3泊。その後の4泊を市街地のほぼ中心にあたるヴェネツィア広場近くのホテルで過ごすつもりだった。予約は出発前にインターネットで済ませていた。

 フィウミチーノ空港からレオナルド急行でテルミニ駅へ。スリの出没で悪名高いバス路線を遠慮して、ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世通りの路線を走るバスで終点ピア広場まで。そこから徒歩約10分のクレシェンツィオ通りに面してアパートがある。サンタンジェロ城と最高裁判所のすぐ北側という好立地だ。出迎えてくれたのはフランチェスコという四十歳前のオーナー代理人兼管理人。実はこのアパートの他の全室はすべて住居。一階のこの一部屋のみが連泊希望の観光客にレンタルされている。オーナーはフランチェスコのお兄さん。

☆ ☆ ☆

 リビングに広い寝室、キッチン、シャワールーム。日本式なら1LDKになるのだが、廊下もあり天井も高く、何よりも70㎡あるのでゆったり広々としている。ここで3泊とはもったいないと内心思いながら、フランチェスコの説明を聞き滞在費用をキャッシュで用意しかけた。すると、彼のほうからこう尋ねてきた。「ローマの後はどういう予定なんだ? 日本へ帰るのか?」

 少しばつが悪かったが、このアパートを出てからまだ4日間ローマに滞在すると正直に答えた。「どこのホテル? 料金はいくらか?」とさらに聞いてくる。「アパートで3泊、ホテルで4泊」にさしたる理由がなかったから、淡々とぼくは説明した。彼は「気に入ってくれたのなら、残りの4泊もここにすればいいじゃないか。キャンセルは簡単だ。『シニョーレ・オカノのローマの友人だが、オカノは都合でローマに来れなくなった』とホテルにぼくが電話してあげよう」。そう言うなり、半ば強制的にぼくに「オーケー」を求め、すぐに携帯を取り出すとキャンセルしてしまった。ちょっと危ない人ではないか・・・・・・。

 宿泊約款により、一週間以内のキャンセルのためキャンセル料は1泊分。昨年はユーロ高だったので、2万円近くになる。少し落胆していると、「その損失分を値引きするから心配なく。狭いホテルよりこのアパートのほうが絶対にいい」とフランチェスコが言う。勝手なもので、なかなかいい人に思えてきた。オーブンや洗濯機、シャワーの使い方を説明し、彼は「今夜食事に出るなら・・・・・・」と言って、パルラメント広場近くのトラットリアを紹介してくれた。

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P1010843.JPGP1010844.JPG ローマでのアパート生活の始まり。(左)ホテルならスイート並みの広々とした居間。(右)ダイニングキッチンには食器や什器のすべてが揃っている。

P1010888.JPG P1020192.JPGアパート裏のサンタンジェロ城。(左)サンタンジェロ橋から。(右)テヴェレ川対岸からの夕景。 

P1010878.JPG P1010868.JPGサンタンジェロ城から。(左)白亜の建物は最高裁判所。(右)ヴァチカンのサンピエトロ寺院全景。 

P1010839.JPG P1010836.JPG P1010837.JPG (左上)フランチェスコ一押しの"ジーノ"は庶民的で親しみやすい雰囲気だった。後日ランチ時にも行った。(上)お任せの前菜。これだけで腹八分目に達する。(左)特製の手打パスタ。この黄みは見たことがない。まるでソース焼きそばの麺のよう。アルデンテとはまた違う独特の歯応えがあった。

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プロフィール

岡野勝志(おかのかつし)
1951年大阪生まれ

企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長
企画アイディエーター
岡野塾主宰

ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。
マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人材の課題に対して、「即答即決アイディエーティング」をおこなっている。

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