2012年1月アーカイブ

語学学習に学ぶ習得のヒント

2012年1月31日 16:55

 二十年前に『英語は独習』という本を書いた。初版のみで増刷はない。出版社としては妙味のない企画に終わったが、ぼくとしては語学学習の正論を著したつもりだった。ものを学びアタマと身体に叩き込んで「自動化」するには、《これ》しかないと言い切ってもいいだろう(書名は「英語・・・」となっているが、実は学習論一般としても成り立つと今でも思っている)。

 《これ》とは「只管音読(しかんおんどく)」だ。ただひたすら声を出して読むのである。音読ができるためには、英語なら英語の(1)発音・イントネーション・リズムの基本が身についていて、(2)読んでいる文章の意味がある程度わかっていることが前提となる。

 何の取っ掛かりもない外国語を朝から晩まで聴いても、一生話せるようにはならない。イメージと結びつかない言語は意味を成さないのである。目の前にモノがありイメージがあり、ジェスチャーがあってシーンがあるからこそ、想像をたくましくしてことばがわかるようになる。母語ですでに概念を形成している成人なら、ふつうに英語の発音ができて文章の意味がわかれば、集中的に大量音読をおこなうと早ければ数ヵ月である程度のことは話せるようになる。

☆ ☆ ☆

 アルファベットを用いる言語のうち、日本人が文字面で発音しにくい筆頭は、実は英語である。英語はほとんどの人が最初に接する外国語、しかも何年もやっているから文字を読めるようになっているが、スペルと発音の関係はきわめて不規則なのだ。フランス語もそのように見えるが、これは英語を先に学んだからそう錯覚するだけで、先にフランス語をやっていると英語の不規則性はなおさら際立つ。

 その英語を数年間ふつうに勉強してきた人なら、中学程度のテキストを何十回と声を出して読みこなせば、単語単位ではなく動詞を中心とした構文単位で意味がつかめるようになる。だから文章が話せるようになるのである。とはいえ、どんなに力説しても、「あなたはもともと英語ができたから、早々と話せるようになっただけで、例外ではないか!?」となかなか信じてもらえない。

イタリア語入門テキスト.jpg ぼくは英語以外では、イタリア語をまずまず話し、スペイン語を聴いて少しわかり、フランス語も少々読める。それぞれ異なったスキルだが、まさに学習方法と費やした時間を反映した結果にほかならない。イタリア語はほんの少しの基礎知識をベースに、誰にも教わらず、ただひたすら音読した。特に一冊目の入門書はおよそ半年間続けた。英国で発行されたイタリア語教本である。この後、むずかしいCDや教本も勉強したが、ほとんど音読はしていない。つまり、最初に只管音読さえしっかりしておけば語学の土台はできるのである。

【写真=イタリア語の教本。只管音読すると、一年も経たないうちにページも剥がれてこのくらい痛ましい姿になる】

 

 

ブリュッセルからの絵はがき

2012年1月27日 15:30

ブリュッセルからの絵はがき.JPG 2011年11月21日。午前10時過ぎ、パリ北駅から特急タリスに乗ってブリュッセルへ。日帰りの旅だ。

 パリと同じくらいの温度だったが、少々底冷えしていた。すぐに電車やバスに乗ると身体が温まらないから、こんな時ほど歩くに限る。街の中心街の歴史地区までは地下鉄に乗ったが、あとは数時間あちこちをそぞろ歩きした。

 これに先立つ一週間前のバルセロナ、さらに三日前にパリに着いてからも絵はがきを書いていないことに気がついた。友人や親類には書かないが、海外に出ると、留守番をしているスタッフには便りをするようにしている。ここまではがきを投函しなかったのは、他でもない、切手が買えなかったからだ。

☆ ☆ ☆

 切手などどこででも売っていそうなものだが、実は、スペインでもフランスでもワインを買うよりもむずかしい。もちろん郵便局で買い求めればいいが、郵便局があちこちにあるわけではない。ふつうはタバコ屋で買う。だが、国際切手を置いていないところが多い。

 運よく切手を売っているタバコ屋があり、その店でついでに絵はがきも買った。それでカフェに入り、カフェベルジーノを飲みながら、ささっとボールペンを走らせた。たわいもないことしか書いていないので、クローズアップされると恥ずかしい。近くのパッサージュのような通りに郵便ポストがあると聞いたので、投函しに行った。

 そこにあるポストは壊れかけたような代物で、無事に集配してくれそうな雰囲気がまったくない。通りがかりの学生風の男性に聞いたら、これがポストだと言う。「だけど、一日に午後4時半の集配だけだから、明日になるね」と彼は付け加えた。時計は午後5時を回っていた。一日後の集配になるわけだし、何よりも信頼を寄せられない雰囲気のポストだ。というわけで、絵はがきを書いたという証明のために投函前に写真を撮ったのである。だから、消印が押されていない。

 この絵はがき、25日には大阪に着いていたらしい。集配してから三日後とは・・・・・・。みすぼらしくて頼りないポストだったが、ブリュッセルの郵便局、案外しっかりしているようである。

石畳を歩くように・・・・・・

2012年1月10日 18:00

 年末年始、別に慌ただしくもなかったが、気がつけば、流れに棹差すように時が過ぎていた。昨年の11月中下旬にはパリにいたのに、それが何だかはるか過去の出来事のように思えてくる。写真もろくに整理しないまま、ゆっくりと振り返る暇もなく今日に至った。

 かと言って、別に重苦しい日々を送っていたわけでもない。ただ、いつになく、少々苛立つ場面に出くわす。何に対してかはよくわからないが、もどかしい。駅の階段を二段ずつ上がろうとしている割には足が上がっていないという感じ。

 時間にも「ゆったり時間」と「急かされる時間」がある。おもしろいことに、前者の時ほどいい仕事が手際よくできる。後者のリズムに入ると「あれもこれも感覚」が襲ってきて、事が前に進まない。

 こんな時、地を踏みしめるようにゆったりと「仕事の中を歩く」のがいい。靴底から地面の凹凸が伝わってくるように。たとえばそれが石畳なら、そこから街のメッセージを汲み取るように。歩いてこそ伝わってくるものがある。走ってばかりいては重要なものを見逃してしまう。というわけで、やり慣れた仕事、見慣れた光景や風情にもよく目配りして歩こうと思う(実際、昨日と一昨日はそうして街歩きでくつろいだ)。

Brussels.JPG〈写真〉2011年11月21日。昼前から黄昏時までブリュッセルの街をくまなく歩き続けた。車や電車やバスでは感知できない「地場」を足の裏で時々思い出す。 

プロフィール

岡野勝志(おかのかつし)
1951年大阪生まれ

企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長
企画アイディエーター
岡野塾主宰

ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。
マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人材の課題に対して、「即答即決アイディエーティング」をおこなっている。

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