【空腹にまずいものなし】

 はたしてほんとうにそうなのだろうか。たまたま朝食を抜いてしまった日の午前中、慌ただしく仕事に追われ、気付けば午後1時過ぎ、というようなことがある。とてもお腹が空いている。飢えていると言ってもいい。ランチに行き、客もすっかり引いた後の店で口に入れるまずいカレーライスが、化学反応を起こしておいしくなるだろうか。まずいものはまずい! この諺の「空腹」は想像を絶するほどの空腹なのに違いない。あるいは、こう言い換えてはどうだろう、【満腹にうまいものなし】。むしろこちらに信憑性がありそうだ。

但し、「空脳(くうのう)にムダな知識なし」は成り立つ、いや、これを成り立たせなくてはいけない。空脳とは「偏見すらない、ハングリーなアタマ」であるから、どんな知識も吸収できる。知識の値踏みをすることもない。もともと大した知識がない状態なのだから、贅沢を言わずに何でも学べるはず。身につくかどうかはわからないが、無能の歯止めになれば御の字ではないか。

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