【郷に入りては郷に従え】
所変われば品も変わる。変わるのは品だけではない。国境を越えれば、価値体系も変わり、ものの見方も変わり、習慣やルールも変わる。ゆえに「郷に入りては郷に従え」なのだ。ところで、「郷」とはいったい何のことだろうか。これは、国境と言うときの「国」という概念なのだろうか。白川郷などの「郷」はかつて行政区画の単位であり、いくつかの村の集合体のことであった。よそ者がどこかの郷に入るとは、そこに「住む」こと。だから風俗や習慣に従わねばならないのは当たり前である。
英語では "When in Rome, do as the Romans do." と表現する。「ローマに行けば(住めば)、ローマ人のように振舞いなさい」である。しかし、「郷に入りては郷に従わねばならない」という強制条件と考えないほうがいい。せっかくの異郷、ふだんの自分の生き方とは違う絶好の機会として見るべきだろう。すなわち、「郷に入りては郷に従うほうが楽しい」だ。