表現という意味では、話すことと書くことは同じです。ところが、この二つのリテラシースキルの力量はあまり比例しません。あなたの回りにもいるでしょう。喋らせたら流暢で話しぶりも巧みだが、まるっきり書けない人。逆に、気の毒なほど口下手だが、見事に書き綴れる人もいます。
ぼくの知人に、難解な英文を見事に訳す男性がいます。しかし、彼は挨拶以外に英語を話せない。書くことも聴くこともダメです。要するに、英文を読めて日本語を書く以外はすべて苦手なのです。
▼ 単語やフレーズによる主題探し
書くべきことが決まっているならば、それをそのまま書けばよろしい。主題探しから始めるのなら、A3判かB4版の白紙を用意しましょう。書くにあたっては一つのキーワードとの出合いがたいせつなのです。テーマが明快でコンセプトが凝縮されていれば、書くべきことはおのずから明らかになるものです。
思いつくままことばを書き連らねます。場合によっては、ことばを書きつつ思いつきを触発します。関連しそうなものを線で結んだり括(くく)ったりしていくと、ハッと何かがひらめくことがあります。
書くなんて自分とは無縁と思っていても、書くことはトータルコミュニケーションの中では欠かすことのできない要素なのです。書くことは話すことや読むことに大きな質的変換をもたらします。もっと言えば、成人になって書いていなければ、なかなか言語能力がアップしないのです。