新しい発想には複眼思考が欠かせません。その複眼思考を手っ取り早く習慣形成する方法があります。命題について〈正・反・合)の評価をしてみるのです(正がテーゼ、反がアンチテーゼ、合がジンテーゼ)。マルクス主義と結びついたせいか、今ではすっかり影を潜めています。しかし、思考面では、この、いわゆる《ヘーゲルの弁証法》は発想力の強化には役立つのです。
諺を命題にしてぼくが遊び心でやってきた《ことわざ解釈学》の実例を紹介します。ぜひ「自分流」も試してほしいものです。
【雨降って地固まる】
「失敗は成功のもと」、「禍転じて福となる」と同じような意味である。現実を見ると、雨が降った直後の地面は固まるどころか、アスファルトだと滑るし、土だとぬかるみになる。この諺の本意に忠実であろうと思えば、「雨が降ってもがっかりしないで、しばらく待てば、お日様が照って地面が固まる」と言わねばならない。